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点字民報 2022年6月号 通巻672号

2022年6月5日 更新

 目次と主な記事をお知らせします。

目次

またもや起きた、視覚障害者の踏切事故 浦西 寛(奈良)
重度障害者等就労支援事業で通勤時のガイドが実現しました 澤田和一(東京)
病マ連の総会と厚労省交渉で分かったこと
身体障害者補助犬法成立から20年
 盲導犬ユーザー受け入れ拒否の実態報告
新会員紹介 藤野ます子さん(山梨)
連載 見えない子たちとともに③
 「これじゃあ、教室の窓ガラスと同じだあ!!」
  江口美和子
総務局コーナー
 1 今度こそ大会が開けますように
 2 頒布会
全国と地域の主な予定

(目次、終わり)

主な記事

またもや起きた、視覚障害者の踏切事故

浦西 寛(奈良)

 4月25日夕方の6時11分頃、近鉄橿原線(かしはらせん)、大和郡山(やまと こおりやま)駅近くの踏切で近くに住む50歳の全盲の女性が特急電車に接触して、亡くなられました。

 事故に遭われた方は以前、当会に入会されていた方で、わずか10日前に母親が住む大和郡山に引っ越ししてこられたところでした。当日は、その母親宅からの帰りで、踏切を渡りだしたところ警報器が鳴り出し、向こう側の遮断棒を手前の遮断棒と勘違いされ、戻る様子が近くの防犯カメラに映っていました。

 現場は道幅が3メートルぐらいの細い道で、車は一方通行ですが結構車通りが多く、踏切前後の四隅に部分的に3枚の警告ブロックが敷設してあるだけでした。

 奈良の守る会としてもこの事故を重視し、大和郡山市障害者の生活と権利を守る会と共同して、市に対して踏切の改善の話し合いの場を設けるよう要望しました。

 マスコミも今回の事故に対して注目し、市も今回は対応が早く、その結果5月2日に話し合いの場が持たれました。市と警察の出席があり、奈良県視覚障害者協会とその郡山支部も参加しました。

 「遮断機の手前に道路幅いっぱいに警告ブロックを敷いて欲しい」「踏切内にエスコートゾーンを敷いて欲しい」「踏切内、および踏切前後の左右にある水路にふたをして欲しい」「踏切内の道路の端をまっすぐにして欲しい」ことなどを伝えました。

 市は、遮断機手前の警告ブロックについては早急に敷設するという前向きな回答があり、その他については今後検討するとのことで、私たちの立ち会いを求めました。5月11日、市・警察・県障害福祉課・近鉄・施工者の参加があり、事故の関心の高さが感じられました。

 今回は大がかりな調査になり、道路幅いっぱいの警告ブロックの敷設は実現するだろうと思っていたところ、5月17日の市の回答は、道路の幅員いっぱいに敷くことは考えていないとのことでした。理由は、車いすやベビーカーの通行の妨げになるという言い訳とも思えるもので、中央は開けておきたいということでした。こちら関西では、踏切内のエスコートゾーンの普及率は低く、大阪府内に4ヵ所あるだけの現状です。

 今回の事故では、交通量が結構ある場所で、その時通行する車がなかったのか疑問に感じられます。ドライバーさんの一声があれば事故は回避できたのではないかと悔やまれるところです。

 今後とも道幅いっぱいの警告ブロックの敷設を要求し、エスコートゾーンの実現をはかり、奈良県におけるモデル踏切となるようにしたいと考えています。そして、亡くなられた方の死が無駄にならないように運動を進めていきます。

(この稿、終わり)

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