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点字民報 2021年12月号 通巻666号

2021年12月5日 更新

 目次と主な記事をお知らせします。

目次

眼の障害年金の基準変更で、2・3級の障害年金を受けている人は年金額が増える場合があるので手続きを
大阪高裁判決から遂に最高裁に上告、新しい署名に取り組みます
就労支援特別事業で35市区町村に再度アンケート調査
「点字毎日文化賞」受賞に寄せて
  堀部光雄(大阪)
若い人に寄り添う田中さん
  伊藤慶昭(神奈川)
東視協で雇用の学習会
  小日向光夫(東京)
視覚障害者の参政権行使は大変だよ
  新潟の綿貫時美さんの場合
  茨城県の場合
  全国共通意見
  大阪の場合
  高知の藤原義朗さん
障害者総合支援法「改正」ポイントと注意点②
  日本障害者センター事務局次長 山﨑光弘さん
総務局コーナー
 1 外装工事カンパのお願い
 2 頒布会
全国と地域の主な予定

(目次、終わり)

主な記事

「点字毎日文化賞」受賞に寄せて

堀部光雄(大阪)

 全視協元会長の藤野高明さん(82歳)が、点字毎日文化賞を受賞されました。この賞は、視覚障害者の福祉・教育・文化に寄与した功績をたたえ、個人・団体に贈られる賞です。心よりお喜び申し上げます。

 藤野さんは46年、小学2年生の夏、河原に捨てられていた不発弾の暴発で、両手首と両眼の視力を奪われました。学校にも入学させてもらえず、絶望の日々を送る中で、気持ちも荒れていた時期もありましたが、それを支えてくれたのは家族の深い愛情でした。

 自分の能力をなんとか生かす道はないだろうかと考えていた矢先、ハンセン氏病で指の感覚を無くした人達が、唇で点字を読んでいることを知り、自分も勉強してみようと決心したのは19歳の1月29日でした。この文字の獲得こそが、その後の藤野さんの人生を大きく変えました。

 34歳から当時の大阪市立盲学校で30年教員生活を送りました。教員採用試験のときには、合格しているにも関わらず大阪市教育委員会から採用を拒まれるという理不尽な仕打ちを受け、再受験するという悔しい思いを強いられました。

 全視協では、1975年から26年間役員を務め、その内の97年から4年間会長の任を果たしました。

 この間の大きな思い出といえば、全視協事務所建設3千万円募金の取り組み(87年事務所開き)、そして、同年8月広島で開かれた原水爆禁止世界大会に、1万筆の点字署名を携え参加した事でしょうか。5千人の参加者を前に、視覚障害者の署名運動の取り組みを報告した時は、さすがに膝がガクガクしましたと、当時を懐かしむ話になりました。

 藤野さんの周囲にはいつも多くの人が集まっています。それは、物事を決してあきらめないこと、その為の十分な学習と綿密な準備、人の心を揺さぶる言葉と、仲間を心から信頼する生き方に共感する人達が如何に多いかを示しています。

 今なお講演依頼が絶えず、来年の予定も詰まっているようです。ほぼ同じ時代を共有してきた私は、藤野さんに大きな影響を受け、励まされたと同時に、仲間とともに支えてこられたことは誇りです。

 これまで波乱万丈の人生を送ってこられましたが、これからは、数多い趣味を楽しみながら、少しだけ社会活動にも励んでいただくことを願っています。

(この稿、終わり)

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