エンター すると 本文に 移動します

点字民報 2021年9月号 通巻663号

2021年9月15日 更新

 目次と主な記事をお知らせします。

目次

点字版についてのお知らせ
  特定非営利活動法人点字民報社 理事長 亀甲孝一
19条裁判上告事件 署名は迅速さが一番大事
  19条裁判対策本部長 東郷 進
発足から45年を迎えた雇用連の歩み
  雇用連会長 乗松利幸
ひと「転機を越えて心機一転」
  フリーランス・つどいグループ代表 三瓶和寿(千葉)
池田邦紀君が逝った  林 正実(新潟)
視覚障害者から社会遠ざけるコロナ感染拡大  野島潔(神奈川)
グループホームでの半年  小板橋靖彦(東京)
主な予定 全視協と友好団体の主な予定
総務局コーナー
 1 核兵器禁止条約点字署名
 2 事務所外装工事カンパ

(目次、終わり)

主な記事

発足から45年を迎えた雇用連の歩み

雇用連会長 乗松利幸

1.雇用連ができるまで

 障害者雇用促進法(以下雇用促進法という)は、60年に制定されましたが、内容的には不十分だとして、障害者団体などが改正運動を続けていました。その運動が功を奏して76年10月、雇用促進法は改正されました。しかし、重度障害者である視覚障害者にとっては、全くといってよいほど、改正の恩恵に浴することができない現状でした。

 一方、わが国における視覚障害者の伝統的職種とされてきたあはき業(あん摩マッサージ指圧業、はり業、きゅう業)は、晴眼者の進出と長引く不況等によって脅かされ、視覚障害者の生活は、年々厳しさを増してきました。

 このような状況を背景に76年10月、雇用促進法の改正を機に全日本視力障害者協議会(当時)が、視覚障害者が一丸となって法の不備を訴えていかなければ、「視覚障害者は取り残される」として、日本盲人福祉研究会(文月会)に対して、視覚障害者の雇用促進運動で共闘することを申し入れ、両団体による「視覚障害者の雇用促進連絡会議」(略称:「雇用連」)が産声をあげ、活動を開始しました。

2.雇用連の活動

 77年7月25日、東京都障害者福祉会館で全国から集まった関係者200人が「第1回視覚障害者の雇用を進める全国大会」を開き、“雇用促進″を高らかに謳いあげました。そして“視覚障害者の雇用促進運動が国民的な盛り上がりの中で進められるよう、国会請願署名運動を行うこと”が決起されました。この全国大会を機に雇用連は、「請願署名」に3回取り組んだ他、「求職カード集め」、「盲大学生の就職希望調査」、「盲人の職業意識調査」、都道府県及びその教育委員会に対する「点字による採用試験の有無についてのアンケート」などを行いました。そして、これらの要求を実現するために、中央交渉をはじめ、学習会、シンポジウムの開催などを実施してきました。

(イ)請願署名

 77年秋の「視覚障害者の雇用を国に求める6項目」の請願署名は4万8千余人筆が全国から寄せられ、78年2月国会に提出しました。同年6月同請願は衆参両院本会議で全会一致で採択されました。しかし、80年秋の第2回目の「視覚障害者の雇用を国に求める請願署名」には、全国から3万2431人の賛同が寄せられ、81年3月国会に提出し審査未了という名の不採択になりました。請願項目にあった“保護雇用制度の導入”が理由だったそうです。

 その後の特筆すべき取り組みは、89年の職場介助者制度創設、2018年の42年ぶりの身体障害者手帳等級改訂でしょう。

(ロ)自治体などの点字による採用試験の実施について

 80年秋、都道府県及び政令指定都市とその教育委員会に対して「視覚障害者職員及び、視覚障害教師の採用について」のアンケート調査を実施しました。

 その後、神奈川県、横浜市、和歌山県などが点字受験を取り入れ、採用に意欲的な取り組みをしていることは、評価に値すると思います。

3.現在の取り組み

 雇用促進法に障害別・程度別の雇用率を設定すること、厚生労働省に視覚障害者を専門官として採用することなど、実現させなければならない問題が山積しています。更に”労使関係者をはじめ、社会一般の理解と協力を仰ぐ”努力もしなければならないと思います。それに何よりも、この運動を成功させるためには、盲学校や関係施設の教職員、父母、在校生のみなさまのご支援の輪こそが必要と考えています。

 最後に、ハローワークがまとめた視覚障害者の職業紹介状況の分析を掲載します。数字は、職業紹介者に占める職業の割合で、視覚障害者%(重度視覚障害者%)の順で表します。

 「専門的・技術的職業」が2010年は、69.6%(83.6%)でしたが、2019年は、44.3%(58.5%)でした。「専門的・技術的職業」の内訳「あんま・鍼・灸・マッサージ」は、2010年は、60.6%(73.8%)でしたが、2019年は、39.3%(48.6%)でした。

 あはき師職業の数が減少したことは、盲学校の生徒数の減少と一致します。

 また、「運搬・清掃・包装等の職業」2012年は、12.4%(6.3%)でしたが、2019年は、21.2%(14.6%)です。この「運搬・清掃・包装等の職業」は、低視力者、軽度知的障害者の職種となっていると考えられます。「事務的職業」も2010年は、10.1%(6.4%)であったが、2019年は、16.4%(11.6%)と若干増加傾向であることも事実です。

(この稿、終わり)

 「点字民報」の全文を読みたい方は、全視協の会員になっていただくか、読者になってください。