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福祉の取り組み

2020年9月14日 更新

同行援護および移動支援に関する提言

 人の生活に必要な要素としては、衣食住と長年言われてきました。近年は「交(交通の交)住食医(医療機関の医)」と言われ、交通権・移動権の確立が重視されています。
 一方、駅ホームからの視覚障害者の転落事故は後を絶ちません。また、過疎地では、バス路線の廃止や減便、あるいは、医療機関や商店の撤退など自動車を保持しない者の生活が維持しにくい状況にあります。
 さらに、移動権の確立は就労・就学、社会参加の基本であり、2015年に日本国が批准した国連の定める障害者の権利条約第二十条には、「締約国は、障害者自身ができる限り自立して移動することを容易にすることを確保するための効果的な措置をとる。」と定められています。
 ここに、全日本視覚障害者協議会の「『日本国憲法を守り広げ、視覚障害者の福祉と介護が権利として保障される社会をめざす』骨格提言」(2017年9月第33大会期第1回全国委員会採択)を具体化する形で、主に、人的移動保障について提言します。

1 利用対象要件
・障害支援区分の認定は非該当でも、必要な視覚障害者に給付すること。
2 給付決定について
・月により冠婚葬祭や家族の病気、旅行などにより外出の必要時間が違います。給付時間については柔軟性を持って決定できるようにすること。
3 同行援護の派遣範囲を次の範囲まで可能にすること
・外来通院時の院内介助
・政治的活動、宗教的活動(政党演説会、葬式、初詣などに内容面で断られたケースがあります)
・通勤および通学
・あん摩マッサージ指圧はりきゅう往療(出張治療)
4 介護保険法や障害者総合支援法の施設や事業との関連
・障害者総合支援法入所施設に入所中でも利用できるようにすること。
・老人福祉法施設入所中でも、給付決定すること。
・自立訓練や訓練等給付への通所にも利用できるようにすること。
5 旅行
・宿泊を伴う旅行でも同行援護の利用を認めること。
・都道府県や市町村圏域外に行ってからの利用の際、旅先の事業所を自治体の責任で見つけていくシステムをつくること。
6 中抜きについて
・利用者が必要とする場合は同行援護の中抜きはやめること。
7 契約
・事前に、電子メールや大活字、点字など利用者が契約しやすいシステムを講じること。
・署名・捺印は簡単なサインもしくは、代筆も認めること。
8 利用料金
・利用料金の一部負担を無料にすること。
9 内容
・同行先によっては、パワーポイントや専門書なども説明できるヘルパーを養成すること。
10 車両利用について
・福祉有償運送の認可を取りやすくすることにより、運送事業者の同行援護ヘルパーが有償運送で移動しやすくなるようにすること。
・同行援護事業者の時には、ヘルパーの自家用車利用を認めること。
11 個別給付として同行援護を支給決定できない場合には、地域生活支援事業による移動支援を支給できる仕組みを作ること

(この稿、終わり)