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JR駅無人化裁判とは

2021年3月1日 更新

まちづくり委員会 山城完治

 視覚障害者のホームからの転落は後を絶ちません。国土交通省が集計を始めた2010年度から19年度までの10年間に753人(うち23人死亡)が事故にあっています。

 先月28日にも東京都板橋区の東武東上線下赤塚駅1番ホームから男性が落ちて電車にはねられ死亡しています。

 落ちない駅ホームを広げようと全視協は、可動柵の整備とともに、駅係員による転落防止・救出の対策を求めています。これにかかわる注目すべき動きがあります。

 駅の無人化で移動の自由が侵害されたとして大分市内の車いす使用者3人がJR九州に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が2月4日、大分地裁で開かれました。

 訴状によるとこの裁判は「被告であるJR九州が大分市内のJR日豊本線(にっぽうほんせん)牧駅(まきえき)、豊肥本線(ほうひほんせん)敷戸駅(しきどえき)、同大分大学前駅を無人化したことについて、これらの駅を利用する車椅子使用者である原告らが原告らの憲法13条等によって保障された移動の自由を侵害する不法行為である」として損害賠償を求めています。

 JR九州が2017年10月に大分市で突如JR8駅の無人化を打ち出したことに反対し、だれもが安心して暮らせる大分県をつくる会が行った7万3113筆の署名をはじめとする3年に及ぶ無人化反対の運動を無視しての強行を提訴したものです。

 国土交通省の昨年12月発表によると無人駅は増加しており、全国の9465駅のうち無人駅は4564駅(48.2%)といいます。全視協の最寄りJR駒込駅東口も昨年、駅員のいない遠隔操作システムとなっています。無人駅・駅員削減が私たちにせまっているのです。

 可動柵の整備には目は向けても、駅員配置には背を向ける。JRや国土交通省との交渉の場で釈然としない気持ちになるのは私だけではないでしょう。移動における安全・安心の主役は人です。これは社会の常識ですがバリアフリー法では非常識です。流れを変えるはっきりとした歩みが始まっています。

(この稿、終わり)