2020年10月1日 更新
令和2年10月1日
厚生労働大臣
田村憲久 様
一般社団法人 全日本視覚障害者協議会理事会
厚生労働省は、『市区町村が認めた場合には、要介護認定者であっても「利用者が希望すれば」総合事業の対象とすることとする省令』(介護保険施行規則)改正を進めようとしています。
一般社団法人 全日本視覚障害者協議会は、視覚障害者及び視覚障害を持つ重複障害の方の「読み書き」をはじめとする情報保障、生活保障、介護保障、そして、生活の安全を崩すものとして断固反対します。
要介護認定基本調査でも視覚に関する調査は1項目、基本チェックリストでは皆無です。
そのような中、総合事業利用者の身体状況・精神状況の把握が低下すると、視覚による注意喚起を怠ることになり、転倒事故など発生も多くなります。
総合事業は、元々介護保障の費用抑制が基本にあり、支援する人の専門性が高いとは言えません。専門的知識の必要な視覚障害者と視覚障害重複障害者への対応は困難です。
老計第10号の中には、情報コミュニケーション保障はなく、視覚障害者の生活援助では必須の、情報保障が薄くなっているのが実情です。情報障害者の支援には、研修を受けたヘルパー、ケアマネジャーによる総合的展開が必要になってきます。例えば、障害者総合支援法の家事援助による「読み書き」保障、地域生活支援事業によるコミュニケーション支援、図書館事業による読書支援など連絡、マネジメントが必要になってきます。総合事業化が進めば、専門的なマネジメントが行われない危険性が高くなります。
障害者総合支援法第7条及び自立支援給付と介護保険制度との適用通知の中に、地域支援事業も平成27年に優先規定に含まれました。それにより、障害者総合支援法の利用においても制限が多くなってきました。
視覚障害者や視覚障害重複障害者のように、介護保険サービスでは質的及び量的に給付が足りないことが多い者にとって、上乗せや横出しの制限につながる危険性があります。
これは、「制度の持続可能性」の名の下に予算削減のために進められてきた介護保険給付の抑制政策の一部です。防衛省は5.5兆円もの軍事費の概算要求をしています。これに影響されて社会保障予算が削られないよう、また高齢化等に伴う自然増も含め、さらに社会保障を充実させるべく予算の確保に最大限の努力をしてください。
一般社団法人 全日本視覚障害者協議会は、人権を守る立場から要介護者の介護保険はずしに道を拓く、省令改正に断固反対します。
以上