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医療機関に従事する皆様へ

2020年9月20日 更新

視覚障害者に対する配慮のお願い

 全視協女性部で、医療機関に従事する皆様に視覚障害者に接する時の配慮、ポイントをまとめた、三つ折りパンフレット(A4判両面)『医療機関に従事する皆様へ、視覚障害者に対する配慮のお願い』を作成しました。

このパンフレットは、「医療機関に従事する皆様へ.pdf」で印刷できます。ぜひご活用ください。

パンフレットに掲載されている内容は、以下をご覧ください。

【表紙】

医療機関に従事する皆様へ
(白杖を使用した障害者と誘導者のイラスト)
(盲導犬のイラスト)
視覚障害者に対する配慮のお願い
一般社団法人全日本視覚障害者協議会女性部
〒170-0003 東京都豊島区駒込1丁目19番15号直枝ビル
 電話 03-6912-2541
 FAX 03-6912-2540
Email:soumu@kbf.biglobe.ne.jp
発行日 2017年10月1日

【見開き頁の文章】

医療機関に従事する皆様へ、視覚障害者に対する配慮のお願い!

 多忙な医療機関において、個々の障害者に適切な対応を行うことは、非常に困難なことかもしれません。しかし、コミュニケーションをとることで、治療がスムーズに進んで行くと考えますのでご協力をよろしくお願いいたします。

 視覚障害者と言っても、周囲の状況が全く見えない全盲者と、見え方に個人差があるにしても残存視覚を有する弱視者とでは介助の方法や病状等の説明の仕方が異なります。

 小さな文字が読めるのに周囲の視野が欠けているため、歩く時にはぶつかったり、その逆の見え方もあります。いずれにしても、視覚障害者に接する時のポイントは、
「一声かけること」
「物に触れさせること」の2つです。

通院時

 白杖や盲導犬を使用している視覚障害者が玄関に入って来たのを見かけたら「受付係の○○です。何かお手伝いしましょうか?」と、声をかけてから近づいてください。姿を見て、だれなのかを特定できない人に対しては、どのような時でも、まず、職名と氏名を名乗るようにすれば障害者は安心します。(白杖を使用した障害者が受付でまよっているイラスト)

 盲導犬と同伴で通院する人に対しては、どのような方法がよいのか、ユーザーである本人の要望を聞いて、話しあってください。(盲導犬のイラスト)

 慣れない場所での移動が困難な視覚障害者に介助(誘導)を行う時には、肘や肩を持たせ、介助者が必ず半歩前を歩くようにしてください。(白杖を使用した障害者と介助者のイラスト)

 狭い場所や人ごみの中を歩く時は、介助者が「狭いので私の後ろを歩いてください。」と一声かけてから、視覚障害者に介助者の真後ろに付いてもらい、一列になって歩いてください。(狭い場所での歩き方のイラスト)

 診察室や検査室に入る順番が来た時、電光表示が見えないので、直接声をかけて手引きしてください。診察室で何をするのか、視覚障害者自身がどのようにすればよいのか等を、できる限り詳細に説明し、患者の不安感を緩和してあげてください。

 病状や治療法、薬の服用方法等を告げたい時には、特に画像を用いて説明する時も、見えている付き添い者に話すのではなく、本人に対して口頭で詳しく説明してください。義眼や入れ歯等の装具や装着物の方法については、模型等を直接手で触れてもらうと理解し易いと思います。

 薬局が院外にある場合、本人が取りに行かなくても薬が渡されるように、関係機関が連携して手配してください。また、薬の種類が多い場合は種類分けして袋に入れるなどの配慮をしてください。

 金銭の授受や書類の受け渡しは、必ずカウンターや机上で行い、一つ一つ確認しあってください。

入院時

 入院や手術に際して、自筆のサインを求める場合、指定の枠内に自筆で記名するのが難しい人には、付き添い者や院内の人による第三者の代筆を認めてください。

 院内や病室等で、物の配置を説明する場合、本人のいる位置や向きを中心に「直ぐ前に診察台があります。右側に枕があります」と言うように具体的に説明してください。また、本人の位置を時計の文字盤の中心に例えて、右方向にあれば「3時にベッドがあります。」と言うように伝える方法もあります。「あちら」「こちら」等と、指で指し示すことはしないでください。この説明の仕方は、テーブルに置かれた食事の説明も同様です。(食事のイラスト)

【裏面】

誘導のポイント

 椅子に座るときは、ひと声かけて視覚障害者の手を椅子の背に触れさせてあげてください。向きと高さがわかります。(椅子に座らせる時のイラスト)

 階段の手前では、一度止まって「上り(下り)階段です」などと声をかけてから上り(下り)ます。(階段を誘導する時のイラスト)

 介助者が後ろから視覚障害者の両肩を押しながら自分の前を歩かせたりすることは視覚障害者にとって、とても怖くて危険なので絶対にしないでください。(介助者が視覚障害者を後ろから押しているイラストにバツじるしを付けている)

緊急時

 急を要する時、事情によっては視覚障害者本人が家族(配偶者、子供、両親)に付き添って医療機関に行かなければならない場合もあります。患者自身への医療的対応と共に、付き添いである視覚障害者に対する配慮も併せてお願いします。

 これをお読みいただいた皆さんに、視覚障害者に対する理解を深めていただき、だれもが安心して医療を受けられるようになることを心から願っています。

(この稿 終了)