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点字民報 2021年11月号 通巻665号

2021年11月17日 更新

 目次と主な記事をお知らせします。

目次

和歌山市の大規模断水と盲人夫婦
  岡﨑 要(和歌山)
最高裁は油断ならない所
  19条裁判対策本部長 東郷進(東京)
天海訴訟控訴審はじまる
  上村宏則(千葉)
JR西八王子駅の安全対策求めて共同
  小日向光夫(東京)
第10回出会い見合いあいあいパーティー 同実行委員会
全視協、21年度第1回全国委員会を開催
障害者総合支援法「改正」のポイントと注意点①
  日本障害者センター事務局次長 山﨑 光弘
総務局コーナー
 1 19条裁判最高裁宛署名
 2 重度障害者就労支援特別事業
 3 頒布会
全国と地域の主な予定

(目次、終わり)

主な記事

和歌山市の大規模断水と盲人夫婦

岡﨑 要(和歌山)

 子供が自立して、いま我が家は、全盲の私と弱視の妻の2人世帯になりました。

 10月3日の夕方、和歌山市の防災無線から「まもなく紀の川の北部地域全域が断水になります」と放送が流れました。

 慌ててお風呂にお湯を張り、バケツなどに水を蓄えましたが、まもなく一滴も出なくなりました。

 和歌山市は、東西に流れる一級河川の「紀の川」を境にして川北地域と川南地域になっています。紀の川から取水した水は、南側にある浄水場で濾過して市内全域に送ります。川北地域には川幅550メートルの紀の川を直径90センチの送水管2本が水管橋で送られています。その水管橋が紀の川のほぼ中央部分で崩落したのです。

 断水した川北地域6万戸14万人には、守る会の会員10名が住んでいます。

 水管橋は75年に完成し、当時はかもめが止まるちょっとした観光スポットだったと聞きます。しかし、途中からは川魚をえさに取る野鳥の大群が羽を休め、多量の糞をし、水管橋を吊り下げる金属が腐食し、異常気象による強風で劣化が進み重さに耐えられなくなったのではと言われています。

 すぐにアマゾンで飲料水を注文しましたが、あくる日の予定が5日後にやっと届きました。

 ニュースを聞いて、奈良の妻の姉夫妻、大阪の友人、普段利用しているヘルパー事業所などから飲料水や生活用水を届けていただきました。普段からお付き合いのあるご近所の方には車で給水所から水を運んでいただきました。お風呂は川南の友人にお世話になりました。洗濯はヘルパーさんの車で遠く離れたコインランドリーに行きましたが時間待ちですぐにはできませんでした。トイレは流す水の量を節約していたために詰まらせてしまい急ぎ業者さんに来てもらいました。

 以前から何かあった時にとペットボトルに30本ほど溜めていた水もトイレや鉢植えの水やりに役立ちました。

 和歌山市では大規模災害時、要援護者登録制度があり、守る会の仲間はみんな登録を済ませていたので今回民生委員や市の職員らしき人が防災用のビニール袋で6リットルの水を届けてくれました。6リットルの水の量はトイレ1回分で、焼け石に水でした。

 笑い話ですが、ある会員は届けてくれた方が「容器に移し替えましょうか」と言ってくれたのでバスタブにいれてもらった。ある人は6リットルの袋の中にペットボトルが3本入っていると思い、はさみで切りかけて水がこぼれて慌てたそうです。

 断水は1週間でしたが、蛇口を開くときれいな水がたっぷりと出る有り難さを実感しました。

 大震災では何カ所も破損し長期間の断水になり、道路や電気・ガスも使えなくなります。また、異常気象により毎年猛烈な勢いの台風が、日本を襲い大きな被害を齎しています。今回は断水のみでしたが、今後いつ起きるかわからない災害に対し日ごろから備えをするとともに、ご近所のおつきあいの大切さを実感した出来事でした。

(この稿、終わり)

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